入れ歯

入れ歯の重要性

歯を1本でも失った場合、放置していると噛み合わせのバランスが崩れたり、失った部分の周囲の歯に負担がかかって残っている歯の寿命を縮めることになります。また、食事がしにくい、発音しにくいなどの弊害や、見た目の悪さもありますから、できるだけ放置せずに何らかの処置をすることをお勧めします。

入れ歯の種類

入れ歯は、ブリッジやインプラントと並んで、歯を失ってしまった場合の選択肢のひとつです。
全体の歯をカバーする場合は総入れ歯、数本の歯を失った場合は部分入れ歯で対応します。
総入れ歯でも部分入れ歯でも、保険診療と自由診療があります。当院では多様な要望にお応えできるように、さまざまなタイプを取り扱っています。

部分入れ歯

部分入れ歯は、お口の中で一部の歯を失った時の対応策です。部分入れ歯の構成としては、歯ぐきの部分にあたる義歯床、人工歯、残っている歯に引っかける留め具の3つの要素から成り立っています。

保険診療の範囲で作る場合は、費用負担が少ないことや製作期間が比較的短いというメリットがありますが、金属の留め具に対して見た目の違和感があることでストレスを感じる人もいます。自由診療であれば、費用負担は上がりますが、見た目の違和感を少なくしたものや、付け心地の良さを追求したものを提供することが可能です。

部分入れ歯データ

保険診療 自費診療
特徴 金属のバネで固定 バネを使わずに装着できるものもある
メリット 安価、短時間で製作可能 見映え、着け心地が良い
デメリット 食べ物の温度を感じにくい、違和感を覚えやすい、破折しやすい、バネが見える、調整が手間 保険に比べて費用が高い、調整に多少時間がかかる
費用(税込) 3,000円~ 120,000~350,000円

部分入れ歯の各素材と料金

薄くて軽い

チタン床義歯

素材 義歯床にチタンを使用
違和感 ★★★★★
安定性 ★★★★☆
熱伝導 ★★★★★
料金 330,000円〜440,000円(税込)
治療回数 3~7回
Merit
  • 違和感が少ない、安定した噛み心地
  • 食べ物の熱が伝わりやすい
  • バネが目立たない
  • 割れにくい、変形しづらい、軽い
  • 金属アレルギーにならない
  • 金属味がしない
Demerit
  • 他の金属より少し柔らかいのでまれに壊れることがある
  • 公的医療保険が適用されない自由診療です

がっちり

コバルトクロム床義歯

素材 義歯床にコバルトクロムを使用
違和感 ★★★★☆
安定性 ★★★★☆
熱伝導 ★★★★☆
料金 275,000円〜330,000円(税込)
治療回数 3~7回
Merit
  • 違和感が少ない
  • 安定した噛み心地
  • 食べ物の熱が伝わりやすい
  • バネが目立たない
  • 割れにくい、変形しづらい
Demerit
  • 金属アレルギーになることがある
  • 金属味がする
  • 公的医療保険が適用されない自由診療です

美しい

ノンクラスプデンチャー

素材 ナイロンを使用
違和感 ★★★★☆
安定性 ★★★☆☆
熱伝導 ★★★☆☆
料金 120,000円〜230,000円(税込)
治療回数 3~7回
Merit
  • バネがないので入れ歯だと気づかれにくい
  • 違和感が少なく、装着感がよい
  • 比較的安価
Demerit
  • 定期的に作り替える必要がある。
  • 公的医療保険が適用されない自由診療です

安定性

アタッチメント(維持装置)

素材 さまざまな種類。入れ歯の補助的な固定装置
違和感 義歯による
安定性 安定するのでよく噛める(義歯によって異なる)
熱伝導 義歯による
料金 維持装置1個につき55,000円〜88,000円(税込)
治療回数 3~7回
Merit
  • 入れ歯が外れにくい
  • しっかり噛める
  • バネがないので入れ歯だと気づかれにくい
Demerit
  • 自分の歯が残っていないと治療が不可能
  • 公的医療保険が適用されない自由診療です

安価

プラスチック義歯

素材 義歯床にプラスチックを使用
違和感 ★☆☆☆☆
安定性 ★☆☆☆☆
熱伝導 ★★☆☆☆
料金 保険適用
Merit
  • 健康保険が適用できる
  • 調整が容易
Demerit
  • 精度を高く作るのが難しいため、安定して噛めない
  • 違和感が大きい、バネが目立つ
  • 割れる、変形するなど耐久性が低い
  • 食べ物の熱が伝わらない

総入れ歯

総入れ歯とは、上下いずれか、または上下ともにすべての歯を失った場合に装着する入れ歯です。部分入れ歯と異なり、入れ歯を引っ掛ける歯がないため、人工歯がついた土台(床)を口の中にはめます。

総入れ歯データ

保険診療 自費診療
特徴 プラスチック製で厚い 歯ぐきと接触する面がシリコンまたは金属でできている
メリット 安価、短時間ででき、修復しやすい 痛くない、外れにくい、噛みやすい、劣化しにくい
デメリット 食べ物の温度を感じにくい、違和感を覚えやすい、破折しやすい、バネが見える、調整が手間 保険に比べて費用が高い、調整に多少時間がかかる
費用(税込) 10,000円~ ※上下別 ¥300,000~450,000円

各素材の特徴と料金

薄くて軽い

チタン床義歯

素材 義歯床にチタンを使用
違和感 ★★★☆☆
安定性 ★★★★☆
熱伝導 ★★★★★
料金 440,000円(税込)
治療回数 5~10回
Merit
  • 違和感が少ない
  • 安定した噛み心地
  • 食べ物の熱が伝わりやすい
  • 割れにくい、変形しづらい、軽い
  • 金属アレルギーにならない
  • 金属味がしない
Demerit
  • 同じ金属でも少し軟らかく、衝撃で壊れる恐れがある
  • 口を開いた際に金属部分が見える可能性がある
  • 公的医療保険が適用されない自由診療です

薄い・がっちり

コバルトクロム床義歯

素材 義歯床にコバルトクロムを使用
違和感 ★★☆☆☆
安定性 ★★★★☆
熱伝導 ★★★★☆
料金 330,000円(税込)
治療回数 5~10回
Merit
  • 違和感が少ない
  • 安定した噛み心地
  • 食べ物の熱が伝わりやすい
  • 割れにくい、変形しづらい
Demerit
  • 金属アレルギーになることがある
  • 金属味がする
  • 公的医療保険が適用されない自由診療です

安価

プラスチック義歯

素材 義歯床にプラスチックを使用
違和感 ★☆☆☆☆
安定性 ★☆☆☆☆
熱伝導 ★☆☆☆☆
料金 保険適用
Merit
  • 健康保険が適用できる
  • 調整が容易
Demerit
  • 精度を高く作るのが難しいため、安定して噛めない
  • 違和感が大きい、バネが目立つ
  • 割れる、変形するなど耐久性が低い
  • 食べ物の熱が伝わらない

現在お使いの入れ歯に違和感がある方へ

まずは現在の入れ歯を観察します

現在お使いの入れ歯に違和感がある場合は、まずは入れ歯や口をじっくりと観察して問題点を探ります。例えば、口を閉じたときの唇の厚さに上下で偏りがある場合は、入れ歯の高さが合っていない可能性があります。

入れ歯で口の中が痛む理由

入れ歯で口の中が痛む理由は、入れ歯と歯ぐきがフィットしていなかったり、噛み合わせが悪かったり、歯ぐきの粘膜が薄かったり、唾液の分泌量が少なかったりとさまざまです。また、刺激に敏感な体質であることも理由の一つとして考えられます。

入れ歯作りの流れ

新しく作り替える場合には、歯と歯ぐき、噛み合わせの型を取ります。その後、できあがった型をもとに歯並びをシミュレーションし、患者さんのご要望に応じて修正を重ねていきます。

違和感を少なくするための工夫

入れ歯は床の面積が大きいほど安定しやすいのですが、その分違和感が増します。そのため、入れ歯が初めての患者さんには、まずは床面積が小さいものを作って様子を見てもらいます。既に入れ歯をつけていて新しく作り替える方の場合には、ある程度入れ歯の装着感をご存じのため、床面積を大きめにして素材を既存のものから変更することで違和感を少なくしていきます。